竜ヶ岳

 私たちの共通の趣味となった山登りは、3年目になります。今回は、山梨県の「竜ヶ岳(標高1485m)」を目指しました。竜ヶ岳は、富士山の西隣にある山で、千円札裏の富士山の右手に描かれています。その昔、“小富士”と呼ばれていましたが、噴火した富士山の溶岩で本栖湖が煮えたぎり、その熱さに耐えきれず、湖の主であった竜が“小富士”に駆け上ったという伝説から、「竜ヶ岳」と名がついたといわれています。

 当日は風もなく穏やかな登山日和に恵まれました。豊橋を早朝5時に出発し、3時間で登山用駐車場(標高900m)に到着。赤や黄色の登山ウェアに着替え、さ~出発です。きれいに整備された登山道には、冬の名残の霜柱が光っていました。ザクザクと歩いて、登山道入口から25分ほどで、“本栖湖”を見下ろすビューポイント(小ピーク)に到着です。身体も温かくなって上着を一枚脱ぎ水分補給をして、振り返れば「うぁーすごい!」  雄大な“富士山”が笹(スズタケ)の向こうに広がっています。

 大自然の美しさは、心をリフレッシュしてくれる最高の清涼剤です。元気になって、頂上を目指して出発。大きくそびえ立つ富士山を背に、笹の原を色とりどりのリュックが続きます。

右後方は朝霧高原、左後方は青木ヶ原樹海

 次に、富士山を正面に望む“石仏展望台”で小休止。見上げれば、ジグザグに“つづら折れ”の急坂が見えます。笹の原を黙々と登り、北面登山道分岐で振り向けば、さっきの“石仏展望台”がはるか後方に……まるで豆つぶのようです。目に映る景色は、富士山の麓に広がる“朝霧高原”や“青木ヶ原の樹海”、遠くには雪をかぶった“八ヶ岳”  ここまでくればあと少し、どこまでも続く絶景とお弁当(♪)を楽しみに頂上を目指します。

 登り始めて2時間ほどで、竜ヶ岳山頂に到着。明るく広々とした頂上は、私たちで貸し切り状態でした。東に富士山、西に南アルプス、南に雨ヶ岳と、まさに360度の大パノラマの世界です。何もさえぎるものがない豪快な富士山の姿を眺めて、気分は最高です。「富士山を裏から見るのは初めて!」と、感動するスタッフの声も聞こえてきました。

 美しい景色とおいしい昼食で、エネルギーを補給したら下山開始です。雪が残る笹の原を歩いて行くと、突然ジェットコースターのような急な階段が現れました。気をつけて一段一段丁寧に下り、全員無事に急階段を制覇!

 分岐点の端足(はたり)峠は、静岡と山梨の県境です。小休止した後、残雪の登山道を進むと、広葉樹の林が延々と続きます。フカフカの落ち葉を踏みしめながら高度を下げていけば、さながら落ち葉のラッセルです。ブナ・カシ・ヒメシャラ・ホウノキと、たくさんの落ち葉のお蔭でドロドロに汚れていた靴底がきれいになりました。やがて木立の向こうに“本栖湖”が姿を見せます。

 本栖湖は、富士五湖の中で最も深く、美しい湖です。この日も神秘的なエメラルドグリーンの水をたたえ、私たちを迎えてくれました。本栖湖沿いの下山道は、ところどころ倒れた大木が道をふさぎ立ち往生しましたが、朽ちた丸太をまたいだりくぐったりして、アドベンチャー気分を味わいました。そして頂上から3時間かけて無事に駐車場へ到着。豊かな大自然を満喫できて、みんな大満足の笑顔でした。

 今回の「竜ヶ岳」は、四季折々に表情を変える自然美を楽しめそうです。秋の紅葉、冬の樹氷や“ダイヤモンド富士”と季節を変えて、また訪れたい山の一つとなりました。