一年を振り返って

 月日が経つのは早いもので、2023年も残すところあとわずかとなりました。一年を振り返ると、さまざまなことがありました。なかでも、ロシアとウクライナの戦争が終わらないうちに、新たにイスラエルとハマスの戦闘が始まったことは、世界中に衝撃を与えました。連日、目を覆いたくなるような悲惨な状況が報じられ、戦争がいかに愚かな行為であるのか、再度実感させられました。

 そうした中で、アメリカ・ロサンゼルスで大活躍している大谷翔平選手の姿は、多くの日本人にとって一服の清涼剤になったのではないでしょうか。実はスタッフの中に、大谷選手と同じ岩手県出身の者がいて、彼の話題になると少し鼻を高くして微笑んでいました。

 皆さんは、どのような一年でしたでしょうか。

 私たちは、今年も多くの方との出会いがあり、思い出に残る年となりました。またお便りから、皆さまが希望を持って歩んでおられるご様子に、喜びと励ましをいただきました。皆さまと深い信頼関係を築くことができ、本当に嬉しく思っています。

 先日、週刊現代(2023年10月号)に『「幸せな晩年」の大研究』と題した記事が掲載されていました。そこには、幸せな晩年を送るためには、お金や健康よりも、誰かの役に立っていると感じられる「貢献感」が大切であることが記されていました。近年の研究で、誰かのために行動する人は、そうでない人と比べて幸福度が高く、健康長寿であることが明らかになったとのこと。

 私たちも、本当にそう感じています。人生100年と言われる今、晩年をどのように過ごすべきかが重要なテーマとなっています。皆さまが、人のために奉仕する中で本当の喜びと、ハイレベルの健康を手にされることを心から願っています。

 来年も、一人でも多くの方の健康づくりのお役に立てるよう、そして皆さま方との心の絆をよりいっそう深めていけるように努めてまいります。

 迎える新しい年が、皆さま方にとって実り多い年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

鎌倉

 秋も深まった11月28日、鎌倉に住む古くからの友人を訪ねました。友人は、健康フレンドのお客さまでもあり、ホリスティック健康学や食事学にも精通していて、皆が信頼をよせている人です。以前から、一度お宅を訪問したいと思っていました。

 朝7時、豊橋駅から新幹線に乗り、鎌倉に向いました。品川から在来線に乗り換え、10時に友人宅に到着。そこは 古都“鎌倉”の雰囲気を残す閑静な住宅街の一角でした。友人から心のこもったもてなしを受け、時の経つのも忘れて楽しい時間を過ごしました。

 友人宅を後にして、せっかく鎌倉まで来たのだからと、そこから歩いて「円覚寺」「建長寺」「鶴岡八幡宮」を巡ることにしました。

 円覚寺(えんがくじ)は、鎌倉幕府8代執権・北条時宗が2度の蒙古襲来の戦没者を弔うために建立したお寺です。入口に建つ総門は、禅宗のお寺らしい落ち着いた佇まいでした。境内に入ると、ここにも荘厳な雰囲気の三門(山門)がどっしりと建っています。この門は仁王像などを置かない簡素な造りで、禅の世界を表しています。鎌倉武士を思わせるような三門の力強さに圧倒されました。

 三門を過ぎると仏殿や方丈などが並び、その先に自然の鎌倉石が露出した“妙香池(みょうこうち)”があり、水面に真っ赤なモミジが映って「きれい!」と、皆目を奪われました。

 池を過ぎたあたりに“舎利殿”が建っていました。この舎利殿には、鎌倉幕府3代将軍・源実朝が中国から譲り受けた ‟お釈迦さまの歯”が納められている(?)とのこと。若くして将軍となり、歌人としても知られていた実朝に思いを馳せました。

 円覚寺の散策を終え、 ‟建長寺”に向かいました。ここは、“鎌倉五山”の第一位となる格式の高いお寺で、中国の禅宗の寺院に倣って、三門・仏殿・法堂(はっとう)などが一直線に並んで建てられています。黄色から赤へと少しずつ色を変えているモミジや、植え込みに咲くツワブキの花が美しく境内を彩っていました。

 建長寺は円覚寺よりも古く、5代執権・北条時頼によって創建されました。境内にはモミジの他にも“柏槇(びゃくしん)”の古木が茂り、中には樹齢760年も経つものがありました。古木の側には創建当時から残る梵鐘(ぼんしょう)があり、その説明の立札に「鐘つけば銀杏(いちょう)散るなり建長寺」という夏目漱石の俳句が紹介されていました。「どこかで聞いたことのあるような……」と思ったら、「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」という正岡子規の俳句もあわせて紹介されていて、有名なこの句の方が少し後に詠まれたものでした。

 

 建長寺から歩いて15分ほどで、“鶴岡八幡宮”に到着。石段の上に建つ朱色の楼門は、先ほど散策した2つの禅寺とは対照的で華やか雰囲気です。鶴岡八幡宮は、武家政治の基礎を築いた源頼朝ゆかりの神社として有名です。

 境内は紅葉を楽しむ観光客や七五三を祝う家族連れなど、平日とは思えないほど多くの人で賑わっていました。楼門の前から鎌倉の街が一望でき、遠くには由比ガ浜が見え、浜に向かって“若宮大路”が長く伸びています。若宮大路は、頼朝が妻・政子の安産を願って造営したと言われています。

 八幡宮の石段を降りた辺りに、古くて巨大な切株が立っていました。これは、鶴岡八幡宮のシンボルになっていた大イチョウが強風のために倒れて、その根元が残されたものです。その太さに、皆目を見張りました。現在は、大イチョウの根から生えた若木が側に植えられていて、黄色く色づいていました。

 若宮大路の高く盛土された ‟段葛(だんかずら)”の上を歩き、土産物屋や飲食店が軒を連ねる小町通りに入ると、ここも修学旅行の学生や観光客など、大勢の人たちが行きかっていました。小町通りで食事を済ませてお土産を買い、鎌倉駅から岐路につきました。

 鎌倉を訪れて、京都とは違う武士の都の簡素で力強い雰囲気を感じることができました。友人が住む鎌倉が、私たちにとって ‟特別な街”となりました。

 2022年も残すところ、あと僅かとなりました。今年もさまざまな出来事がありましたが、中でもロシアのウクライナへの軍事侵攻は衝撃的な出来事で、平和の大切さを痛感した一年でした。ウクライナでの戦争は、いまだに終結する気配がありません。発電所が攻撃され、電力の乏しい中で厳しい冬を過ごさなければならないウクライナの人々のことを思うと、本当に胸が痛みます。

 ウクライナに限らず、今この時も、世界を見渡してみれば、戦火の耐えることがありません。目を覆いたくなるような惨事が繰り返されています。また、これほど物質的に豊かな世界にあって、飢餓に苦しんでいる人が大勢います。そうした悲劇は、人間の“物質中心主義”と“利己主義”から発生しています。私たちはこれからも、少しでも悲劇がなくなることを願って、自分たちのできる限りのことをしていきたいと思っています。

 皆さんは、この一年をどのように過ごされましたでしょうか。

 今年は、多くの方との出会いがあり、私たちにとって忘れられない年となりました。また、皆さまから届くお便りに喜びと励ましをいただきました。皆さま方との心の絆をいっそう深めることができましたことを、本当に嬉しく思っています。

 来年も、一人でも多くの方の健康づくりのお手伝いができるように力を尽くしてまいります。

 迎える新しい年が、皆さまにとって喜びに満ちたものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。