伊豆三山

 今年の初登山は、伊豆の国市の城山(じょうやま342.3m)・ 葛城山(かつらぎやま452m)・ 発端丈山(ほったんじょうざん410m)の縦走。“城山登山口” を出発し、三津長浜までの「城山ハイキングコース」をたどります。標高は低いですが、いずれの山も富士山のビューポイントとして根強い人気があります。

 1月19日、午前4時半、新年早々美しい富士山を見られるとあって、ワクワクしながら豊橋を出発。思っていたよりも気温が高く、ホッと胸をなで下ろしました。新東名高速から伊豆中央道に進むと、まもなく右方向に緑の山並みが現れます。その中でひときわ目を引くのが、最初に登る“城山”です。天に迫り上がったような巨大な岩壁を見つめ、「あの山に登るのね!」と、期待に胸が高鳴ります。

 午前8時、“城山登山口”に到着。入り口には「城山ハイキングコース」の案内板と並んで、「長嶋茂雄ランニングロード」の看板が立っています。ここはかつて、読売巨人軍の長嶋茂雄氏お気に入りのランニングコース、現役時代にトレーニングでよく走り込んでいたそうです。

 念入りに準備運動をして、竹林と杉の木立の間を、いざ出発!苔むした石がゴロゴロしていて、滑らないように注意しながら登っていきます。すると、垂直に切り立った大きな岩が現れ、そこは昔、石の採掘をしたという“石切り場”。さらに進んでいくと、目の前に巨大な岩壁が迫り、思わず「オー!」と驚きの声が上がります。ここはロッククライマーの間では有名な練習場です。登っている人はいませんでしたが、「こんな絶壁を登るなんて、すごい!」と、みんな感心して見上げていました。
 道の両側には、常緑樹のアオキが真っ赤な実をつけています。葉を落とした大木が何本も横倒しになっていて、山の自然の厳しさが伝わってくるようでした。 
 8時50分、木のテーブルとベンチが据えられている広場で小休止。背中は汗でびっしょり、「暑い、暑い」と言いながら衣類の調節と水分補給をします。

 再出発してまもなく、“城山峠”に到着。ここから山頂まで“ウバメガシ”の群生が続いています。“ウバメガシ”は備長炭になる堅い木ですが、見た目は細く、幹には縦に独特のひび割れ模様が入っています。これほど広範囲にわたる“ウバメガシ”を見たのは、みんな初めて。薄暗い林に陽の光が差し込んで、「まるでグリム童話の世界に入り込んだよう」と、幻想的な風景を味わいながら登っていきます。

 9時20分、最初の目的地“城山”山頂に到着。山頂からは大仁町の町並みや蛇行している狩野川、箱根の山々が望め、「きれい!」 と歓声。山頂にある方位盤でずっと以前に登った“金時山”を確認すると、「あの時飲んだ甘酒は、おいしかったわね」と、思い出話に花が咲きました。楽しみにしていた富士山は雲の中、次の山に期待して“城山”山頂を後にしました。

 9時45分、再び“城山峠”に戻ってきました。ここから“葛城山”への分岐、“鶯谷(うぐいすだに)”を目指します。アップダウンが少なく歩きやすい道を黙々と進み、“鶯谷”に到着。次は“葛城山”山頂を目指します。
 水仙の香りに癒され、“葛城山登り口”から丸太でできた階段を登ります。時々景色を眺め、急登をゆっくりゆっくりと登っていきます。

 11時5分、2つ目の山“葛城山”山頂に到着。ここは観光の名所 “伊豆の国パノラマパーク”で、ロープウェーでも登ることができ、大勢の観光客で賑わっていました。空中公園の名にふさわしく、駿河湾を一望できる展望テラスがあり、伊豆で一番のビューポイントとも言われています。きれいに整備され、「今度はぜひ、ロープウェーできましょう!」と、誓い合いました。絶景を眺めながら食べるお弁当の味は、また格別でした。
 ふと空を見上げると、薄ぼんやりと白銀の富士山の頂が現れ、「やっと見えた!」と大興奮。しかしそれもつかの間、あっという間に隠れてしまいました。

 登ってきた道を下り、12時15分、再び “鶯谷”に戻ってきました。次は“発端丈山”山頂を目指します。木々の息吹を全身で感じながら、どんどん進んでいきます。“益山峠”を越え、最後の登り坂を「ヤッホー」と声をかけ合いながら、一歩一歩踏みしめて登っていきます。

 午後1時、やっと“発端丈山”山頂に到着、口々に「ヤッター!」と歓声を上げます。明るく開けた山頂には、シンボルツリーのイチョウが1本立っています。ここからの眺めも素晴らしく、駿河湾に浮かぶ“淡島”に「可愛い!」と、みんな目を輝かせていました。富士山は見えませんでしたが、伊豆ならではの海と山の景色を満喫することができました。

 しっかりとエネルギーをチャージし、午後1時20分、三津長浜に向けて下山開始。ぬかるんで滑りやすい急な斜面は本日最大の難所、慎重に下ります。所々ロープが張られていて、それをしっかりとつかんで下っていきます。転ばないように細心の注意を払ってはいても、時折ズルッと足をとられると「キャッー」という悲鳴、すかさず「大丈夫?」という声が飛び交います。お尻が泥だらけになってしまったスタッフもいました。

 山道が終わりになるころ、道の両側には晩柑の木が植えられていて、その実の鮮やかなオレンジ色に元気が湧いてきました。午後2時30分、終着地“伊豆三津シーパラダイス”に到着、約6時間の行程を無事歩き終えました 
 今年の初登山は、緩やかな伊豆三山を縦走するハイキングコースでしたが、ハイキングにしてはちょっときついコースでした。残念ながら富士山の絶景はお預けになってしまいましたが、自然のエネルギーをたっぷりと浴びて、心は満足感でいっぱい、大いにリフレッシュすることができました。

 今年もスタッフ一同、力を合せて健康フレンドの仕事に、奉仕活動に、そして登山にも精いっぱい頑張っていこうと思っています。