高指山

 これまでもハローフレンドで紹介してきましたが、登山は今やスタッフにとって共通の趣味であり、人生の刺激であり、最高の健康法となっています。
 昨年は、北アルプス2回(立山連峰・燕岳)、南アルプス1回(仙丈ケ岳)、富士五湖周辺3回(三方分山・鬼ヶ岳・長者ヶ岳)、伊豆1回(達磨山)と、計7回登山しました。
 年も改まり、今年も昨年以上に山登りにチャレンジしようと、みんな張りきっています。さらにグレードアップした山にも挑戦してみたいと思っています。

 ”初登山”は雄大な富士山の近くと決め、今年は山中湖の東周辺を選びました。「高指山(たかざすやま)~鉄砲木ノ頭(てっぽうぎのあたま)~三国山」を結ぶ山中湖東側は、富士絶景コースとして、またカヤトの大群生地として人気のスポットです。
 1月9日、雲ひとつない快晴。厳冬期の山中湖畔の気温はマイナス8度です。午前8時、凛と張りつめた冷気の中をいっせいに出発しました。初めに目指すのは、富士山のビューポイント「高指山」です。高指山の標高は1174メートル、湖岸からの高低差は200メートルほどで、山頂はカヤトに覆われた穏やかな姿をしています。

 別荘が点在する丘陵地をぬけ、明るい林の中を登ります。道はなだらかで歩きやすく、初登山の足慣らしには絶好のコースです。陽の光をたっぷりと浴びているのに、手袋の中の手はなかなか温まりません。30分ほどで山頂に到着。目の前には、裾野あたりまで厚い雪におおわれた富士山晴れわたった真っ青な空を背景にして立つあまりにも端正なその姿に、私たちの目はくぎづけになりました。

 小休止の後、尾根伝いに「鉄砲木ノ頭」に向かいました。この頃には早朝の寒さが少し緩み、額にうっすらと汗がにじみます。明るい樹林帯の中の登山道には、落ち葉の上に所々雪があり、靴底では凍った土がサクサクと音を立てています。
 1時間ほどで「鉄砲木ノ頭」に到着。1291メートルの山頂からは、さらに雄大な展望が視界に飛び込んできました。中腹の左右に“宝永山”と“小御岳”を従えてそびえる様子は、これまでに見た富士山の中でも最も威厳のある姿です。なだらかに広がる裾野が、さらに富士山の雄姿を際立たせています。その裾野に包まれるように山中湖の全景が収まり、湖面に浮かぶ遊覧船が小さく見えました。
 富士山と山中湖の大パノラマの中で早めの昼食をとり、絶景を存分に堪能しました。

 今回の登山のもう一つの楽しみは“カヤトの大平原”です。鉄砲木ノ頭から三国山に向かう下り斜面にカヤトの大平原が現われました。“カヤト”はススキに似ていますが、穂がまっすぐ立ち、丈が高いので、私たちの姿をすっぽり隠してしまいます。まるで迷路に入りこんだ子供のように、ワクワクしながらカヤトの中を下りました。振り返ると、一面に広がる黄金色のカヤトと真っ青な空のコントラストがとても鮮やかです。

 カヤトの原で、ちょっとした冒険気分を味わった後は、「三国山」への登りルートが始まります。登山道には白く雪が積もっています。「いよいよアイゼンの出番か」と、みんなの目が輝きましたが、雪はわずかでアイゼンは必要ありません。一面に積もった雪の中を歩く楽しみは、残念ながら次回におあずけとなりました。凍結した道を慎重に登り、やっと山頂に到着しました。

 山頂はブナやミズナラの樹林帯で展望はあまり恵まれていませんが、葉を落とした木々の間から富士山を望むことができました。1320mの山頂付近は、神奈川県、静岡県、山梨県の三県にまたがっていることから、「三国(みくに)山」と呼ばれています。
 帰りは、再びカヤトの平原を登り、鉄砲木ノ頭にもどりました。ここでもう一度、雄大な富士山の姿をしっかりと目に焼きつけ、下山にかかりました。午後1時、駐車場に無事に到着しました。

 今回はいつもより早く下山できたので、近くの観光スポット“忍野八海”に立ち寄りました。忍野部落では、富士山からの伏流水が湧き出て8つの池をつくっていて、それが “忍野八海”と命名されています。湧き水は水量も豊富で水質もよいことから“日本百名水”に選ばれています。

 どの池も抜群の透明度を誇り、水中で悠々と泳ぐ大きなマスや湧き水にゆれる水草、水底に落ちているコインまではっきりと見ることができます。あまりの透明度に、じっと見つめていると異次元の空間に引き込まれそうな不思議な感覚になりました。池のまわりには、みやげ物屋や食事処などが軒を連ね、多くの観光客でにぎわっていました。

 山の天気は変わりやすく、一日中晴天が続くことはめったにありませんが、この日は帰りの車からも富士山の姿がくっきりと見えていました。今年の初登山は最高の天気に恵まれ、富士山から多くのエネルギーをもらうことができました。