ダチョウ牧場を発見

 先日、いたずら好きのスタッフが血相を変えて、「海の近くにダチョウがいた!」と駆け込んできました。そのスタッフ、海辺を散歩中に偶然“ダチョウ”を発見したと言うのです。みんなは、またいつものように冗談を言って笑わせようとしていると思いました。スタッフの一人が「海辺にダチョウ? ダチョウじゃなくてガチョウじゃないの」と。  でも、そのスタッフの顔は大真面目で、真に迫っています。

 そこでさっそく、みんなも行ってみることにしました。「ひょっとして本当にダチョウに会えるかもしれない」と、少しワクワクしながら車で10分ほど走ると、太平洋が一望できる海岸に出ました。「こんなところにダチョウがいるの?」と思った瞬間、目を疑うような光景が飛び込んできました。なんと、本当に“ダチョウ牧場”があったのです!

 そこは、目の前一面に太平洋が広がるとっても見晴らしのいい場所で、おでんや焼き鳥などの売店があり、バーベキューもできる海の家です。その一角に、高さ1.7mほどのフェンスに囲まれた檻があり、その中にダチョウが4羽、自由に動き回っていました。

 みんなはすぐに車から降りダチョウに近寄りました。すると、待ってましたとばかりにダチョウが一斉に集まってきました。目の前30cmのところに迫ってくるダチョウはかなり迫力がありますが、その大きな眼と口があまりにもユーモラスで、全員笑いこけてしまいました。ダチョウの方は「遊んで、遊んで」とばかりに長い首を動かして私たちにアピールします。ダチョウというと足が速く、気性が激しいというイメージがありましたが、こんなにも人懐こい性格にみんなびっくりです。

 お店の人の話によると、お客さんに喜んでもらうためにわざわざ伊豆から連れてきたとのこと。黒い毛のオスが2羽、茶色の毛のメスが2羽、もう大人で卵も産んでいるそうです。

 私たちはさっそく、その中のハンサムな黒色巻き毛のダチョウに“カール君”と名付けました。カール君の特徴は愛らしい大きな眼とカールしたふさふさな羽根、細くてもたくましい足です。クリッとした大きな眼には羨ましいほどの長~いまつ毛が生え、とってもキュート。まつ毛といえば、若い女性たちの間で何枚もの付けまつ毛をするのが流行っていますが、中にはとうてい似合っているとは言えないような人もいます。でも、こちらは正真正銘の“本物”。やはり本物にはかないません。

 カール君の羽根は見るからにあったかそうで、これなら寒い冬も大丈夫。ダチョウの羽根は静電気を帯びないため、OA機器や自動車の高級ダスターとして使われているそうで、実は密かに生え変わりを期待したりして……。

 一番驚いたのはカール君の足です。鳥類は普通足の指が3本ですが、ダチョウは2本しかありません。足指だけを見ると、まるでジュラシックパークに出てくる恐竜の足にそっくりで、ちょっとグロテスク。しかしこの大きな足指で約150kgもある全身を支え、時速60~70キロで走るというのですから、本当に驚きです。

 ダチョウといえば、昨年は新型インフルエンザが大流行し、その抗体作りに“ダチョウの卵”が使われたことが話題となりました。ダチョウは感染症に強く、ニワトリの約25倍もある大きな卵をたくさん産むことに着目し、研究が進められました。今では、この「ダチョウ抗体」を染み込ませたマスクや、フィルターを使った空気清浄機などが商品化され、今後の新型インフルエンザ対策として注目されています

 しかし、今の私たちの関心はもっぱら、「ダチョウの卵って、いったいどんな味がするのだろう? 卵1個でスタッフ全員分の卵焼きができるだろうか?」……こんなことばかり。お店のご主人に、私たちの心からのお願いですどうか、今度ダチョウが卵を産んだら1個でいいですからとっておいてください。おいしかったらお店の宣伝をしますから……。