免疫力アップの決め手は心

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 全国に出されていた“新型コロナウイルス”による「緊急事態宣言」が解除され、とりあえずホッとされている方が多いのではないでしょうか。海外では、感染が南米にも拡がり、死者がますます増えています。日本の感染者数は、他の先進諸国に比べればかなり少ないですが、それでも900名以上の方が亡くなりました。なかでも、28歳の力士“勝武士”さんの訃報は人々に衝撃を与え、皆さんも「若くて体力もある力士がどうして?」と思われたのではないでしょうか。勝武士さんは糖尿病を患っていて、それが重症化につながったとのこと。
 ウイルスによる感染症を重症化させないためには、日頃から免疫力を高めておくことが重要です。病気を発症していたり、高齢などで健康レベルが下がっていると免疫力が低下してしまいます。そこで今回は、この“免疫力”について少し述べてみたいと思います。

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 皆さんもご存知のように“免疫力”とは、病原菌やウイルスなどの外敵や異物から人体を守るために備わっている能力です。体内に外敵が侵入してくると、即座に免疫システムが働きます。
 免疫システムは、2段構えでウイルスなどの外敵を退治します。まず、血液中にある免疫細胞(*マクロファージや好中球と呼ばれる貪食細胞)がウイルスを食べにかかります。それでも消滅しないときは、リンパ球という免疫細胞が最強の武器と言える“抗体”をつくり出します。ほとんどのウイルスはこれで死滅するようになります。そして、同じウイルスが再び侵入してきたときのために、その抗体を準備しておきます。こうした働きを利用しているのが“ワクチン(予防接種)”です。なんと、人間の免疫システムは1億種類以上もの抗体をつくり出すことができるというから、驚きです。
 私たち人間は、無数の微生物が棲む中で生きています。もし免疫システムがなかったら、人間は生きていくことができません。免疫システムが正常に働いているおかげで、私たちは生命を維持し、健康を保つことができるのです。

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 世間では今、“免疫力”を高める方法が注目され、乳酸菌や食物繊維の摂取、有酸素運動や笑いなど、さまざまなことが推奨されています。それらが健康番組などで紹介されると、1つの方法だけを熱心に実践する人がいますが、残念ながらそれでは免疫力を上げることはできません。ホリスティック健康学では 「心・食・運動・休養」という4つの健康条件をすべて健全なものにすることで、免疫システムが正常に働くことを明らかにしています。
 具体的には、「調和のとれた心」「正しい食生活」「適度な運動」「十分な休養」、これらが常に満たされることで免疫力が高まり、健康を手にすることができるようになります。そして、その中で最も重要なのが「心」です。心は、他の3つの健康条件にも影響を与え、身体全体に及ぼす影響力は、人々が考える以上に大きいものなのです。
 例えば、悩みや心配事を抱えていると食欲がなくなり、運動をする気力が湧いてきません。それでは当然、質のよい睡眠をとることは難しくなります。健康状態は、心の持ち方ひとつで、大きく左右されてしまうものなのです。
 「調和のとれた心」とは 「物質的・肉体的なものより、霊的・精神的なものを優先する心」「自分のことだけでなく、周りの人を思いやる心」「何事にも感謝し、明るく前向きに受けとめる心」を言います。
 それとは反対の「不調和な心」とは「物欲・肉欲に支配された利己的・自己中心的な心」のことです。こうした状態になると、イライラや不満がつもり、周りの人に対して批判的な思いが湧いてくるようになります。そうしたマイナスの感情(ストレス)が免疫力を低下させることになるのです。
 多くの人々が、忙しい生活を送る中で神経をすり減らし、ストレスをため込んでいます。現代では、人々の間に“生活習慣病”が蔓延していますが、それを引き起こす一番の原因は「不調和な心」にあるのです。

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 皆さんは、「心・食・運動・休養」という4つの条件を満たすための努力をなさっていますか?
 皆さんが、明るく生きがいのある生活を送る中で、新型ウイルスにも負けないハイレベルの健康を手にされることを心から願っています。

子供にスマホ、必要ですか?

 昨年の秋、衝撃的なニュースが流れました。大阪府教育庁が早ければ新年度から、府内の公立小中学校に携帯電話やスマートフォンの持ち込みを容認することを決定した、というのです。相次ぐ地震や台風で子供と連絡を取るのに苦労したという保護者からの要望が多く寄せられたのが、決定の要因だとか。
 今年2月、それを受けて文部科学省も公立小中学校のケータイやスマホの持ち込み禁止を見直す方針を示しました。これに対して、教育関係者などからさまざまな意見が出ています。そこで今回は、家族や教育問題に取り組んでいるジャーナリストの石川結貴さんの著書『スマホ廃人』の内容を少しご紹介しながら、この問題について述べてみたいと思います。

 昨年の秋、衝撃的なニュースが流れました。大阪府教育庁が早ければ新年度から、府内の公立小中学校に携帯電話やスマートフォンの持ち込みを容認することを決定した、というのです。相次ぐ地震や台風で子供と連絡を取るのに苦労したという保護者からの要望が多く寄せられたのが、決定の要因だとか。
 今年2月、それを受けて文部科学省も公立小中学校のケータイやスマホの持ち込み禁止を見直す方針を示しました。これに対して、教育関係者などからさまざまな意見が出ています。そこで今回は、家族や教育問題に取り組んでいるジャーナリストの石川結貴さんの著書『スマホ廃人』の内容を少しご紹介しながら、この問題について述べてみたいと思います。

 スマホ解禁に真っ向から反対しているのが、尾木ママこと “尾木直樹” 氏です。尾木氏は政府の方針に対して  「議論が尽くされておらず、非常に強引に感じる。海外では子供への悪影響から法律で禁止したり、厳しい制度を設けたりしている国が多い。そうした中で国際的に見ても本当に恥ずかしい状況だと思う。日本の未来を支える若者の健全な成長を阻害するのは極めて残念だ」 と厳しく批判しています。

 また、兵庫県立大准教授の“竹内和雄”氏は   「高度情報化社会を生きる子供たちに、情報端末使用のスキルやマナーを身につけさせることは必須である。保護者だけでは限界があるので、小さい頃から学校教育でも教えることには賛成だが、盗難や学力低下など懸念材料も多い。十分な議論も準備もできていない現段階での解禁は不安が大きい」とし、メリットとデメリットを見比べながら、社会全体で話し合うことの必要性を訴えています。(*2019.04.20の産経新聞、日本の議論にて)
 一方、危惧する意見が多い中、「災害時に子供がいつ帰宅するのか分からず、不安でたまらなかった。ケータイやスマホの持ち込みを認めてほしい」という保護者の声や、「この情報化社会にあって、禁止していることの方が時代遅れである」という声もあがっています。

 私たちは以前から述べているように、スマホは子供に与えるべきではないと考えています。とは言え、子供のスマホ普及率が年々上昇し、スマホに規制をかけることは難しい状況になっています。そのうえ国が、学校にスマホを持ち込むことを容認するなんて、とても賛成できません。大きな社会問題となっているスマホ依存やネットいじめ・犯罪に巻き込まれる事件などに、ますます拍車をかける結果になるのではないかと思うからです。文部科学省は、解禁を検討する前に、学校教育の一環としてスマホの正しい使い方と危険性をしっかりと教えるべきだと思います。
 皆さんは、どう思われますか。

 内閣府による調査(2017年度) によると、ケータイやスマホを持っている割合は、小学生で55%、中学生で66%、高校生では97%になっています。中でも小学生の普及率は、7年前より2.75倍に増えています。
 また、第10回「未成年(10~18才) の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」(2017年、デジタルアーツ株式会社)では、1日の平均利用時間は、小学生が1.9時間、中学生が2.2時間、高校生は5.5時間、高校生の女子に至ってはなんと、6.1時間だそうです。利用時間帯を見ると、最も多いのは18時~21時が70%で、高校生の4人に1人は深夜0時~3時に利用しているというのです。さらに、小学生の男子の32%が21時~24時に、6.8%が0時~3時に利用していて、小学生がこんなに遅くまで起きていることに本当に驚きました。これでは、スマホが子供たちの健全な成長の妨げになっていることは明らかです。
 現に、最新の調査(平成27年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書) によると、「依存傾向にある」とされた人の割合は10代が13.7%と、全世代の中でダントツの 1位、しかもその割合は1年で4倍以上も増えているそうです。若い世代にスマホが普及することによって、ネット依存・スマホ依存も低年齢化していることがよく示されています。 こうした“スマホ依存症”について医学博士の廣中直行氏は、スマホが持つ特有の利便性によって、本人の気づかないうちに依存症になってしまうことを述べています。そして、スマホの利便性として、次の3つを挙げています。

 1つ目は「どこでもできる手軽さ」  電車の中でも歩きながらでもでき、トイレにも持ち込めます。しかも片手だけで操作できる手軽さによって、のめり込みやすくなる、ということです。
 2つ目は「身体感覚とマッチしていること」  指の操作だけで簡単に刺激や快感が得られるため、“もっとやりたい”という強い欲求が生まれて手放せなくなる、ということです。
 3つ目は「感覚への刺激が得られること」  スマホは、メッセージが着信するたびに通知音や文字やイラストが表示され、それを見たり聞いたりして多くの刺激を受けることができる、ということです。そもそも人間は、単調で退屈な生活には耐えられないようにできていて、絶えず変化や刺激を求めて生活しています。スマホは、そうした刺激に対する欲求を簡単に満たすことができるのです。

 廣中氏はこうしたスマホ特有の利便性から、人々はスマホにのめり込み手放せなくなると述べています。
 『スマホ廃人』の筆者の石川さんは  「パソコンを使ってのネット依存よりも、スマホ依存の方が対象者はより広くなる可能性が高い。日常生活に深く浸透したスマホは気づかないうちに私たちを取り込み、心身を壊すツールになっていくかもしれない」と危惧しています。
 私たちも、今の状況が進んでいけば多くの人々が精神に異常をきたし、スマホ依存症は国民病になっていくだろうと考えています。そうした事態に陥って初めて、国がスマホの規制に向けて動き出しても、もう遅いのです。しかしそうならないかぎり、急増するスマホ依存症を止めることはできないのではないかと思っています。

 石川さんは、スマホに関わる危険性について具体例をいつくも挙げています。例えば、スマホを利用した子育てによって、毎日スマホに接している2歳児が22%もいることや、日本の赤ちゃんの睡眠時間が世界で1番短くなっていること。また、スマホを使った陰湿なイジメや、LINEやSNSでみんなに嫌われないように、毎日必死になっている子供たち。スマホゲームにはまってお金を注ぎ込んだり、学校に行けなくなった少年。性犯罪に巻き込まれる少女など、スマホには多くの危険がともないます。

 以前、スタッフだよりで依存症対策にいち早く取り組み、成果をあげた韓国の例を紹介しました。2011年に「シャットダウン制」を導入し、国内外から注目を集めた韓国が、今では方向を一転し、その制度の見直しとゲーム産業への支援強化に向けて歩み出したというのです。その要因は、経済損失です。シャットダウン制の導入によってゲーム産業が大きな打撃を受け、わずか4年でゲーム会社の3割が倒産し、約1300億円の経済損失をもたらしました。そのため韓国では方向を転換し、再び国を挙げてゲーム産業の活性化や人材育成を促進していこうとしています。
 ネット依存症対策の見本となっていた韓国が、子供を守ることより経済を重視したことは、とても残念です。日本の状況はと言えば、子供たちの間に広がっているネット依存に対して、何の対策もとられていないばかりか、学校へのスマホの持ち込みを解禁する方向へ進んでいます。これは、尾木ママの言うように“本当に恥ずかしい状況”としか言いようがありません。
 消費者庁の「スマホゲームの動向」(2016年3月)によれば、国内のゲームアプリ市場は714億円(2014年)、2年間で60.8%も増加し、2017年以降は1兆円産業になるとのこと。やはり政府にとっては、子供たちの安全よりも経済成長の方が重要なのでしょう。
 私たちは、人間の“心の成長”ほど大切なものはないと考えています。経済よりも、便利さよりも、重要なのは心の成長です。スマホ依存は、まさに心の成長を阻害します。タバコや薬物・アルコール中毒の恐ろしさはよく知られていますが、スマホ依存も立派な中毒、いわば“機械の奴隷状態”です。人間の尊厳性をみずから手放すことなのです。しかもスマホ依存は、幼い子供まで蝕んでいくのですから、事態は深刻です。私たちは、たとえ経済が低迷しても、子供たちを守っていくこと・子供たちの心を育てていくことこそ、率先して国がやるべきことだと思っています。

 石川さんは最後に  「20年後、彼ら(生まれた時からスマホに接している子供たち)が大人になった時、スマホはどんな幸せをもたらしているだろう。そこに“想定外”の事態が起きるのではないか、私は懸念を払拭できずにいる。大きく勇ましい声に同調が集まり、冷静な視点や客観的事実が軽視された結果、どんな悲劇が起きるか、歴史の数々が証明している。過去は変えられないが、今と未来は変えられる。ならば今、私たちはスマホという名の文明の利器にどう向き合うのか、真摯に考えるべきだろう」と訴えています。
 私たちも、本当にそう思います。現状のまま何ら対策もとらず、学校にスマホを持ち込むことを解禁したら、ますます問題は深刻化していくに違いありません。災害時の対応なら、別の方法があるはずです。子供たちには、スマホの正しい使い方と危険性をしっかりと教えるべきです。スマホで手軽に人とつながろうとするのではなく、人と直接触れ合うことこそが、本当に重要なことであると思います。そうでなくては、子供の心を成長させることはできません。

 5月1日、年号が「平成」から「令和」に変わり、新しい時代がスタートしました。「令和」という言葉には、“人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ”という意味が込められているとのこと。未来を担う子供たちが、心身ともに健やかに成長していくことができる時代であってほしいと心から願っています。