ショック‼富士山が大噴火⁉

 昨年のあの衝撃的な“東日本大震災”から1年9ヶ月、復興もままならないうちに今度は、“富士山噴火”が取りざたされています。先日、スタッフの一人がその記事を特集している週刊誌を見つけてきました。そこには何と、『3年で富士山は噴火する』という衝撃的な見出しが  これには全員ビックリ! 3年なんてスグです。

 私たちの住む豊橋から富士山まで直線距離で約140キロ。これだけ離れていても現実に噴火が起こったら、さまざまな被害や影響が予想されます。しかも大好きな富士山が崩れてしまうかもしれないと思うと、とても無関心ではいられません。

 週刊誌の記事によると、長年にわたり富士山の調査を続けてきた琉球大学名誉教授・木村政昭氏は、「2015年までには富士山が噴火する」と断言しています。(※木村教授は三宅島・大島三原山の噴火を予測、阪神淡路大震災の危険を指摘、新潟中越地震など多数の予測が的中したことで有名な海洋地質学者・地震学者です。)

 11月5日付けの中日新聞にも  「富士山は過去に大地震と連動した噴火が起きている。南海トラフ巨大地震が発生した時、静かで美しい霊峰が火を噴く可能性がある」 という記事が載っていました。すでに、今年の6月には静岡・山梨・神奈川の3県が 「富士山火山防災対策協議会」 を発足し、避難計画書を作成しているとのこと。できれば信じたくない話ですが、“富士山大噴火”は決して“作り話”でも遠い先のことでもなく、間近に迫っている“現実”のようです。

 では、富士山が噴火した場合、いったいどのような被害が発生するのでしょうか。過去の事例からみて、先ず“溶岩”による被害が挙げられます。火口から900度を超える溶岩が、人が歩く程度の速さでドロドロと流れ出し、1週間ほどで富士宮市に到達します。それが数ヶ月も続くと、日本の大動脈である東名高速道路、さらに東海道新幹線まで呑み込んでしまう可能性があるとか。もしそうなれば、日本は文字通り東西に分断され、噴火の影響は富士山周辺どころか国中に及ぶことになります。

 さらに千葉大学の津久井雅志教授は、「最悪の場合“山体崩壊”が起こるケースも想定しておく必要がある」と指摘しています。“山体崩壊”とは、噴火にともなって山の3分の1から4分の1が崩れることを言います。直径数百mもの巨大な岩が時速100kmの猛スピードで落下してくるというのですから、想像しただけで思わず身震いしてしまいます。

 日本の象徴として、多くの人々に愛されてきた富士山。その富士山が見るも無残な姿に変わったとしたら、本当にショックです。おそらく日本中の人々が心の支えを失ったような喪失感に襲われるのではないでしょうか。

 噴火による最も大きな被害は何といっても“火山灰”です。“灰”といっても、ゴミを燃やしたときに出るような燃えカスではありません。実際はマグマが細かく引きちぎられてできた“ガラス片”です。それは雪のようにきれいに見えることもありますが、鋭くとがっているので目に入れば角膜を、鼻に入れば粘膜を、肺に入れば肺を傷つける実にやっかいなものなのです。

 内閣府が2004年に作成した「ハザードマップ」によれば、降灰は静岡と山梨の県境付近に30cm、100km以上も離れた東京や千葉でも2~10cm積もると想定されています。火山灰は偏西風に乗って東へ東へと流れ、関東一帯を覆います。火山灰が数センチ積もっただけで車は走れなくなり、鉄道はもちろんのこと飛行機も飛べなくなってしまいますから、首都圏は大混乱。そのほかにも、パソコンなどの電子機器が使えなくなったり、断水や停電が起きるなどの大被害が予想されます。頼みの携帯電話も使用不能、日常生活を送ることはほぼ不可能になると言うのです。これらの被害は、あくまで悪い条件が重なったときに起きる最悪の事態を想定したものです。しかし私たち国民は昨年、想定外のことが現実に起きることを思い知らされました。いずれにしても、富士山が噴火したらかなりの被害がでることは避けられそうにありません。

 では、富士山の噴火は予測できるのでしょうか。現在富士山には、GPS・地震計・傾斜計・空振計などが設置され、24時間体制で監視されています。ですから異常な数値が観測されれば、噴火の数日から数週間前に予測できるのではないかと期待されています。しかし、噴火の日がわかってから行動するのでは間に合いません。大パニックが発生することは容易に想像できますから、富士山周辺の人も遠い人も、今から噴火を想定し、その時のための準備と心構えをしておくことが大切だと思います。

 私たちは全員、必ず来ると言われている 「東海沖地震」 に備えています。以前“スタッフだより”で、「パンデミック(新型インフルエンザ発生)」に備えて食料品や日用品、防護服などを紹介しましたが、噴火となるとまた違う備えが必要となります。例えば、防塵マスクや防護メガネ、火山灰を取り除くショベル、パソコンや電化製品に火山灰が入り込まないような対策等々。これを機会にもう一度、防災用品を点検しておかなければと話し合っています。

 “富士山噴火”は避けられないとしても、せめて大噴火ではなく、小規模の噴火であってほしいと願わずにはいられません。

 富士山が人々に愛されているのは、日本一高い山というだけでなく、山頂から麓までの長くなだらかな曲線の美しさと、凛とした山容にあります。私たちはどこの山に登っても必ず富士山を探し、その雄姿に歓声をあげてきました。いつ見ても、何度見ても富士山は変わらぬ美しい姿で私たちを迎えてくれます。それが噴火によって破壊されてしまうかと思うと、本当にいたたまれない気持ちになります。噴火する前にもう一度登って、頂上からの絶景を目に焼き付けておきたいと思っています。

 もし皆さんの中に、いつか富士山に登りたいと思っている方がいらしたら、計画を早めた方がいいかもしれません……。