山々にあふれる元気老人!

 先日、新聞の「読者投稿欄」に、次のような記事が載っていました。投稿したのは、日本で生活している29歳のアメリカ人男性です。

 アメリカから日本に来て2年ぐらい学んだ。毎週末、できるだけ山へ登る。驚くのは山にお年寄りがたくさんいることだ。登るのが難しい山や雪山にもいる。例えば八ヶ岳や剣岳、北岳だ。岩登りとか氷登りも上手なのでびっくりする。

 アメリカの山では若者の方が多いが、日本の山で若者と会うのは珍しい。高尾山や筑波山のような手近な山に登るのか、生活が大変なので週末はゆっくりしたいのか分からない。年をとったとき、山に興味を持つようになるのだろうか。

 アメリカのお年よりは旅行や手芸やいろいろなレジャーをするが、あまり危険なことにチャレンジしない。だからお年寄りとはのんびりするものと思っていたが、日本人のお年寄りの多くは多忙な生活を送っている。

 チャレンジを楽しんでいるのだと思う。私も年をとったら、登山をする日本人のお年寄りのような生活を送りたい。        

                          [産経新聞]談話室より

 この若者が言うように、本当に山は元気なお年寄りでいっぱいです。山小屋で話をしていると、「百名山を制覇した」とか「ヒマラヤへトレッキングに行ってきた」という話題が次々と飛び出してきます。普通は避けるような超難関コースにチャレンジしている方もいて、槍ヶ岳なんて“屁のカッパ”という感じです。

 ウェアもカラフルでとてもモダンです。ほとんどのお年寄りが足腰をサポートするタイツなど最先端の機能性ウェアをいち早く取り入れ、おしゃれに着こなしています。身支度からも、お年寄りの登山にかける意気ごみが伝わってきます。

 実は私たちは、9月に「御嶽山」「白馬岳」「甲斐駒ケ岳」の3峰を制覇してきました。どれも3000m級のなかなかハードな山です。スタッフ全員での1泊2日の白馬岳登山についてはすでにお知らせしていますが、本当は私たちの登山は白馬岳だけではなかったのです。なんと、白馬登山の1週間前には御嶽山、白馬から帰った2週間後には甲斐駒ケ岳へ行ってきました。その間に日帰りで「富士山」に登ってきたというスタッフも数人います。

 それにしても、よく体が持ったものだとつくづく思います。初めはこんなハードな予定ではなかったのですが、今年の夏のめったにない天候不順のために、3か月分の登山計画を結果的に1ヶ月ですべて実行することになってしまったのです。やってみると案外、驚くようなことができるものです。とうとう“1週間おきに百名山に登る”という快挙をなしとげてしまいました。9月の1ヶ月間だけに限っていえば、私たちはパワフルな“山女”そのものでした。山で出会う元気なお年寄りにも、決して負けてはいませんでした。

 この体験のお蔭で、登山にもかなり自信がつきました。でも、まだまだ超元気な山登り老人にはかないません。やっぱり脱帽です!! 最近の登山遭難事故の約6割がお年寄りというのも頷けます。

 私たちは、時にはハードな山に挑み、時には優しい山を目いっぱい楽しみ、あまり無理をせずに“安全第一”の登山を続けていきたいと思います。