

2009年の新語・流行語大賞の一つに「草食系男子」が選ばれ、それ以来、新聞・テレビ・雑誌などでこの言葉がひんぱんに取り上げられるようになりました。 ある調査会社が、30代の若者400人を対象にアンケートを行ったところ、「自分は草食系男子」と思っている人が75%にのぼったということです。そして今や男子に限らず、日本の若者全体が“草食化”していると言われていて、「日本の未来は大丈夫?」と案ずる声さえ聞こえてきます。
健康フレンドのスタッフの間でもそのことが話題になり、「 そう言われてみれば、うちの息子も間違いなく草食系だわ…… 」という人がほとんどでした。そこで今回は「草食系」の若者について考えてみたいと思います。

◆ 車やブランド品に興味がない
◆ 海外旅行に行きたいと思わない
◆ 出世したいと思わない
◆ 会社の飲み会に参加しない
◆ 残業はしたくない(早く帰宅して趣味やパソコンをやりたい)
◆ 心が優しく、男らしいということに縛られない
◆ 自分流の価値基準や行動規範がはっきりしている
◆ 経済的に恵まれているのでガツガツしていない
◆ 恋愛に消極的
などの特徴が挙げられます
時々新聞に、諸外国と日本の若者の意識調査の結果が発表されます。それによると、日本の若者は中国・韓国・欧米の若者と比べて、「意欲が乏しい」ということが浮き彫りにされます。なかでも中国・韓国との比較では、両国の若者の方が「すべてにおいて意欲的で上昇志向が強い」との結果が出て、有識者が日本の将来に警鐘を鳴らしています。

「肉食系」とは、一言で言えば「上昇志向が強く、積極的でやる気があるエネルギッシュな人」のことです。ひたすら経済的な発展を目指し、日本の後を追っている中国や韓国の若者のようなタイプの人間のことです。
日本においてもバブル崩壊前の高度経済成長期の時代には、男子は「バリバリ働いてお金を稼ぎたい」「出世したい」「高級車に乗りたい」「美人の彼女をゲットして幸せな家庭を持ちたい」「家族のために立派な家を建てていい暮らしをしたい」と猛烈に働きました。そうして頑張った世代の人たちの目には、草食系の若者は「覇気がない」と映り、「生きる気力があるのか?」とふがいなく思えて仕方がないようです。ただでさえ、不況や高齢化社会などの深刻な問題を抱えているのですから、日本の行く末が心配になってしまうのでしょう。
昔は日本の若者も、今の中国や韓国の若者のようにギラギラしていました。しかしよく考えてみれば、中国や韓国の若者が一見エネルギッシュでバイタリティーに溢れているように見えても、心の底で求めているのは高学歴・高収入・高級車など物質的な豊かさであって、真の意味での精神的なものではないことがわかります。彼らは“物欲”だけを追及しているのです。

私たちは、世間で言われるのとは異なり、“草食化”は決して嘆かわしいことではないと考えています。「草食系」には、「肉食系」にはない良い点が多くあるように思います。「草食系」の一番よいところは、何よりも「モノ」や「カネ」に対する執着がないことです。それはガムシャラに「モノ」や「カネ」を追い求める時代遅れの「男らしさ」の呪縛から解き放たれ、精神的な生き方ができるようになったということであって、むしろ好ましい傾向だと思います。
だからといって、今の“草食系”若者たちが、そのままでよいというわけではありません。ギラギラとした物欲がなくなり、大人しくなったというだけで、前向きの姿勢はまったく見られません。せっかく“物欲”という醜い思いから解き放たれたのに、結局は内向きのままで安定志向が強く、自分のことだけで精いっぱいなのです。何の無理もせず、何の犠牲も払わず、無難に自分なりの世界で幸せを求めているのが、今どきの「草食系」の若者のようです。“エゴ性”は淡くなったとはいえ、一皮むけば“低俗な個人主義”に陥っているのです。悪いことをしなくなったというだけでは駄目で、若者らしく積極的に良いことをしていかなければ、精神的な進歩・向上は望めません。

他人への奉仕(利他愛の実践)の大切さが、若者たち一人一人の人生観となり、そこに喜びを見出していくなら「草食系」の若者は世界の人々に貢献する素晴らしい日本人になっていくことでしょう。
「自分の幸せより、常に全体の幸せのために働く」「日本の利益ではなく、地球人類の利益のために献身的に働く」そうした生き方を求める若者が増えていくなら、彼らこそ、日本にとっての“本当の宝”であると思います。
「草食系の若者たちよガンバレ!」と私たちは期待しています。