上高地①

 6月上旬、健康フレンドのスタッフ全員で新緑の上高地に行ってきました。上高地はいつ行っても清々しく、心が洗われ、常に大きな感動を与えてくれます。また、どこを見ても絵になるところばかりで、まさに“日本のチロル”です。スタッフ全員、文句なしに大好きなところです。

 初夏の上高地は、1年を通して最も素晴らしい季節です。残雪の多く残った北アルプスの峰々眼前に迫ってくるような岩肌、音を立てて流れる梓川の雪解け水、そしてまぶしいほどの新緑…
……。

 上高地に来るたびに思うことは、「知り合いの方々全員に、この素晴らしい景色を見せてあげたい。連れてきてあげたい」ということです。ハローフレンドを読んでくださっている皆さん方とも、またいつかご一緒できたらいいのにと、心から思います。今年の夏には、健康フレンドのスタッフ全員で“白馬連峰縦走”を予定しています。今回の上高地のトレッキングは、そのための訓練もかねていて、河童橋から横尾山荘まで片道3時間、往復6時間の長時間のトレッキングでした。

 私たちの登山は、毎回のことですが、時間とお金を節約する強行軍です。当日は豊橋を午前2時に出発し、上高地のバスターミナルに着いたのは7時頃でした。その日は天気に恵まれ、大変ラッキーでした。現地のタクシー運転手さんの話では、上高地はずっと雨続きで1週間ぶりの晴天とのこと、その先々週には長雨のため主要道路が土砂崩れで1人が亡くなり、1週間全面通行禁止だったそうです。

 早朝のため、河童橋にはまだ観光客はあまりいませんでした。ほんの数名のカメラ愛好家がいただけです。

 河童橋から横尾山荘を目指して歩き始めると、すぐに群れをなして咲く可憐な“ニリンソウ”の花々に出会いました。上高地はニリンソウの大群生地としてつとに有名です。ニリンソウの見頃は、1年のうちわずか10日間ほどですので、全国各地から多くの観光客がこの時期をねらって訪れます。辺り一面、ニリンソウが満開で、見渡すかぎり白と緑のじゅうたんのようでした。

 四季折々の素晴らしい自然が出迎えてくれる上高地みんな後ろ髪をひかれるような思いで上高地を後にしました。近くの平湯温泉でサッパリと汗を流し、心身ともに爽快になって豊橋へ向けて車を飛ばしました。豊橋に着いたのは午後8時、こうして長い長い一日が終わりました。

唐松岳

 7月13日午前2時、大きなザックを車に積み込み、白馬八方尾根から唐松岳登頂を目指して出発しました。健康フレンドのスタッフそろっての山荘泊まりは初めての体験です。久しぶりの本格的登山と、8kgにもなる荷物を背負って最後まで登りきることができるだろうか・・・そんな不安を抱え、みんなちょっと緊張気味です。

 八方尾根はたくさんの高山植物と雄大な白馬連峰の美を満喫できるトレッキングコースとして有名です。特に北アルプスの山々を鏡のように映し出す八方池には、多くの観光客が訪れます。唐松岳は標高2,696m、白馬岳と鹿島槍ヶ岳を結ぶ中間地点に位置し、アプローチが容易なことから北アルプスの入門の山として親しまれています。
 私たちのような初級者にはピッタリの山です。

快適な空中散歩

 白馬ジャンプ競技場(初めて見るジャンプ台の高さにびっくり)が見えると、リフト乗り場もすぐそこです。駐車場に着き、装備を整えながら気持ちを引き締め、午前8時、ゴンドラリフトに乗り込みました。始発なのに人が続々と集まってきて、人気の高さがうかがえました。
 3つのリフトを乗り継いで一気に八方池山荘(1,830m)まで上ります。緑のじゅうたんに黄色いニッコウキスゲの花がひときわ目立ち、1年前の車山高原を思い出しました。座っているだけで視界がどんどん広がり、麓の町や川が一望できる快適な空中散歩です。

八方池山荘からいよいよスタートです

 八方池山荘に着き、真っ白い雪渓が美しい北アルプスの大パノラマにみんなで感動し、いよいよスタートです。
 八方池までの約7kmはとても歩きやすく、珍しい高山植物を楽しみながらゆとりを持って歩けるトレッキングコースです。心配していた天気にも恵まれ、抜けるような青空と白い雲、目の前には雄大な山々、本当に絵になるような絶景に感動の連続です。足元にはピンク・白・黄色などのかわいい花々や、目の覚めるような新緑のトンネル、時折聞こえる鶯の鳴き声など、自然の中にすっぽりと包まれている心地よさを全身で感じることができました。途中いくつかのケルン(道標や記念として作られた積石)を越えて、約1時間半で八方池(2,060m)に到着です。くぼみにできた大きな水たまりのような池が突然現れ、青い空と山々を映し出している姿はとっても神秘的でした。

 八方池を越えると本格的な登山に変わります。数ヶ所ある雪渓は、滑らないようにしっかりと踏みしめて渡ります。岩を“ヨイショ”と登ったり、一歩間違えたら遥か下まで転がっていきそうな道を歩いたりと、一歩一歩進んでいくほどに高いところに上がっているのがよくわかります。大きな木々もいつしか地を這うような這松に変わり、下から見上げていた山肌の雪渓の上に自分たちが本当に立っているんだと思うと、喜びが込み上げ、思わず“ヤッホー”と叫びたくなります。
 スタートから約4時間半、やっと唐松岳頂上山荘に着きました。

唐松岳登頂

 午後1時、山荘に荷物を置き身軽になって、さぁ、ここから頂上へのアタックです。頂上までは約20分、どんな景色に出会えるかワクワクしながら登っていきました。山の天気は変わりやすいと言われていますが、みるみるガスが発生し辺りは真っ白になり、視界がさえぎられてしまいました。それでも頂上標識を見た瞬間、達成感と安堵感で胸がいっぱいになりました。ここまで登ってくることができて本当によかったと、それまでの疲れも吹き飛び、みんなの顔が最高の笑顔に変わりました。頂上からの絶景が見られなかったのは残念ですが、登頂の喜びは何度味わってもいいものですね。
 山荘までの帰り道では高山植物の女王と言われているコマクサを見ることができました。鮮やかなピンク色で、花の形がとても上品で可憐に咲いていました。

ゆったりと休めました

高山植物の女王 コマクサ

 唐松岳頂上山荘はとっても快適でした。部屋もきれいで、食事も美味しく、ご飯と味噌汁はお代わり自由なのでお腹いっぱいになりました。食事の後は疲れた体をほぐして、8時前にはみんな床につきました。ふだんとは違ってハードに筋肉を使っているので、体が興奮してなかなか寝つけなかった者もいました。  
 山荘では、水はとても貴重です。勿論お風呂もシャワーもありませんし、トイレの水も最小限です。いつも何気なくふんだんに使っている水の大切さを知ることができました。

雨もまたいい体験です

 夜中から降り出した雨は朝になっても上がる気配がなく、持ってきたカッパやザックカバーの出番です。
 カラフルなカッパに身を包み、山荘の方々の笑顔と“お気をつけて”の言葉に見送られて出発しました。

バラバラと叩きつける雨の音を聞きながら、時々吹きつける強い風に身を屈め、ゆっくりゆっくりと下ります。 とってもラッキーなことに、途中で雪渓を渡る3羽の雷鳥に出会いました。親子かな~と思いながら、息をひそめてじっと見つめていました。特別天然記念物の雷鳥をこんなに間近で見られるなんて……思いがけないプレゼントにみんな大感激です。ついつい見とれて写真を撮るのを忘れてしまいましたが、丸々としたかわいい姿は今でもくっきりと目に焼きついています。 
 下りの山道を滑らないように注意しながら歩いていたせいか、気づいたらあっという間に八方池に着いていました。その頃には雨も上がり、雲の切れ間から青空も覗いていました。八方池からは、雨上がりに映える高山植物を一つ一つ観賞しながらゆっくりと下ってきました。

かわいい花たちとの出会いもありました