銀杏ひろいに初挑戦

 イチョウの葉が日増しに黄色く色づいてきました。イチョウというと銀杏(ギンナン)です。翡翠色をしたモチモチッとした食感がたまりません。でも、あのくさ~い臭いがちょっと……落ちている実を見つけても、とても拾う気にはなりません。しかしこのご時勢ですから、できることは何でもやってみようと、生まれて初めて“銀杏ひろい”に挑戦しました。

 臭い果肉から銀杏を取り出すには、土の中に埋める方法と、水に浸けておく方法があります。土の中の方がきっと臭わないのではないかと、今回は前者を選びました。

 10月下旬、まずはイチョウの木を探しに、いつもウォーキングをしている公園へ。するとラッキーにも、すでにたくさんの実がついている木がありました。青々している葉っぱの間から黄色い実を見つけたときは、思わず「ヤッター」と。今まで、葉が真っ黄色に色づいてから実がつくとばかり思っていたので、ビックリしました。少ししか落ちていなかったので、「よし、明日の朝のウォーキングのついでに拾おう」と、その日はルンルンで帰りました。翌朝、な、なんと、目の前に袋を持っているおじさんが……銀杏は1つも残っていませんでした。「残念。明日の朝はもっと早く来なくちゃ  思いもかけない銀杏争奪戦の始まりです。翌朝はがんばって早起きして、30個ほどゲット。思わずニッコリ。

 ある時、こんなことがありました。またしても1つも落ちていない木を見上げていたら、ウォーキング中の中年の男性が「昨日、袋いっぱいに拾っていた人がいたよ。どれどれ、揺すってあげようか」と、木を揺すってくれたんです。ゆさゆさ揺れる木から銀杏が勢いよく飛び出てきてポトリ、ポトリと落ち、みるみるいっぱいになりました。「わ~すごい、ありがとうございます」 大きな声でお礼を言ってそのおじさんの顔を見ると、さっきとは別人のように格好よく見えました。
 秋には秋の味覚をしっかり味わっている人や親切な人がいるのを知って、とてもうれしい体験でした

 銀杏は採るたびに家に持ち帰り、庭に穴を掘って埋めました。2週間後、そろそろどうかな~と思い掘り起こしてみると、シャベルで少し押すだけでツルッと種だけになりました。水でよく洗い、2日間干してでき上がりです。不思議にも、拾っているときも水で洗っているときも、臭いは全く気になりませんでした。あまりの簡単さにちょっと拍子抜けですが、これなら来年もできそうです。

 フライパンで乾煎りして、自然の恵みに感謝しながら一つ一つ味わって食べました。公園の銀杏は、店で売られているものとは比べ物にならないくらい小さいものです。でもその中に、旨みがギュッとつまっていてついつい食べ過ぎてしまうほど、今まで食べたどの銀杏よりも最高に美味しいものでした。新鮮だからでしょうか? それとも執念のたまもの?・・・

 銀杏はちょっと苦手と思っている人、くさ~いと言って避けて通っている人、一度拾ってみてはいかがでしょう。きっと私のように、栄養たっぷりのこの美味しさにはまってしまいます。