姫路城・大塚国際美術館

 新緑がまぶしい5月の初め、二班に分かれて1泊2日の旅行に出かけました。

 行先は、兵庫県にある世界遺産の‟姫路城”と、徳島県鳴門市の‟大塚国際美術館”です。どちらも以前から一度は訪れてみたいと、皆楽しみにしていました。

 ‟姫路城”は誰もが知る日本の名城で、小高い丘の上に建つ白亜の城は別名「白鷺城」とも呼ばれ、国宝に指定されています。‟大塚国際美術館”は、大塚製薬が1998年に創立75周年を記念して造った世界初の陶板名画美術館です。陶板に再現された原寸大の世界の名画が1000点以上展示されています。

 出発の日は ‟五月晴れ” となり、旅への期待が一気に高まりました。名古屋駅から近鉄特急 ‟ひのとり” に乗り大阪へ、そこからバスで ‟姫路城” を目指しました。

 12時、姫路城の ‟大手門駐車場” に到着。バスの車窓から青空に映える白い天守が見え、入口の大手門にはたくさんの人たちの姿がありました。姫路城は、大天守をとり囲む3つの小天守と、4つの渡り櫓(わたりやぐら)からなる城郭建築で、スケールの大きさや美しさは、現存する城の中でも圧倒的な存在感を放っています。昭和と平成に大規模な修理を重ね、400年前の姿を今に伝えています。1993年には、日本で初めて世界文化遺産に登録されました。

 心を踊らせながら大手門をくぐり、立派な櫓(やぐら)を持つ ‟菱の門(ひしのもん)” を通って城内に入りました。左右に白漆喰(しろしっくい)の壁が続き、そこに丸や角型に切り取られた狙撃用の狭間(さま)がいくつも開けられていて、優美なこの城も戦に備えた要塞だったことを物語っていました。

 石垣の間を縫うように通路は少しずつ狭くなり、さまざまな石を積み上げた石垣の上に建つ櫓の軒裏(のきうら)にも白い漆喰が施されています。漆喰は城の壁を白く飾るだけでなく、防火の役割も果たしています。昔の雰囲気を留める石垣や天守を見上げていると、この城の城主だった黒田官兵衛や羽柴秀吉、池田輝政といった名だたる武将たちの思いが伝わってくるようでした。

 地下1階、5層6階建ての大天守の内部に入ると、中は広くひんやりとしています。急な階段が最上階の天守まで続き、大勢の観光客と一緒に一段ずつ慎重に登りました。どの階にも黒光りする太い柱や天井を支える立派な梁があって、目を見張りました。壁には槍や火縄銃を保管した武具掛けや武者隠しが設けられていました。ようやく天守にたどり着くと、そこもたくさんの人であふれていて身動きできないほど。天守の中を一回りして、明るい光が差し込む窓から姫路の街並みを見おろしました。幾多の戦火をまぬがれ、当時の姿を留めてきた姫路城は、私たちをひと時、歴史の中に引き込み魅了してくれました。

 姫路城の見学を終えて、4時に宿泊する神戸に到着。ホテルの近くにある異人館や中華街を巡り夕食をとりました。その後、花々や植物が植えられたフラワーロードを通ってメリケンパークまで歩きました。メリケンパークは神戸港の真ん中にある公園で、夜になっても多くの人たちで賑わっていました。皆でライトアップされた ‟神戸ポートタワー” に登り、そこから異国情緒を残す神戸港の夜景を楽しみました。

 翌日も天候に恵まれ、朝8時半にホテルを出発。神戸から‟明石海峡大橋”を通って淡路島を縦断し、‟大塚国際美術館”に向いました。淡路島に入ると一面に新緑が広がり、まるで私たちを歓迎してくれているようでした。淡路島から徳島県につながる ‟大鳴門橋(おおなるときょう)” を渡ると、海峡には渦潮が見えました。橋を渡り終えるころには、木々に埋もれるようにして建つ美術館が見えてきました。

10時に ‟大塚国際美術館” に到着。入口から長いエスカレーターでエントランスまで上がりました。このエントランスは美術館の建物の地下3階にあたり、地上2階まで各階ごとに「古代・中世」「ルネッサンス・バロック」「近代・現代」と時代を分けて、1000点以上の絵画が展示されています。皆音声案内のイヤホンを借りて、一つも見落とさないようにと、名画鑑賞をスタートしました。

 初めに、エントランスの正面にある ‟システィーナ礼拝堂” を見学。ミケランジェロが描いた天井画や壁画だけでなく、礼拝堂全体がそのまま再現されていて、圧巻の見応えでした。階を上がるごとに有名な絵画がフロア全体に隙間なく展示されていて、時間の経つのを忘れました。

 人気の高い‟モナリザ”やゴッホの‟ひまわり”、フェルメールの絵の前には多くの人たちが見入っていました。私たちもすかさずカメラにおさめました。展示されている絵画は、どれも筆遣いまで忠実に再現されていて、驚くことに指で触れることもできました。古代の壁画から現代アートまで一気に観ることで、絵画の変遷を辿れるのは、この美術館の大きな魅力の一つです。集合時間までたっぷりと名画を鑑賞し、充実した1日を過ごすことができました。

 陶板に再現された名画は、2000年先も色あせることなく美しい色彩を保ち続けると言います。「人々のために役に立つものを残したい」という創業者の願いが、歪みのない陶板に名画を転写するという画期的な技術とともに、世界に類のない‟陶板名画美術館”を実現させました。たくさんの名画を堪能し、満足感に浸りながら岐路に着きました。

 今回の旅は、日本を代表する名城と世界の名画を鑑賞し、日常では味わえない豊かな時間を過ごしました。皆で感動を共有し、新たなエネルギーをたっぷりと充電することができました。