小中学生は携帯ダメ!条例

 先日、全国で初めて「携帯電話の所持を規制する条例」が石川県で可決されました。条例には  『保護者は小中学生に、防災・防犯・その他の特別な目的の場合を除き、携帯電話を持たせないように努める』と明記されています。

 これに対し賛否両論の意見が出ていますが、以前より子供たちの携帯電話の使用に警戒感を示している大阪府の橋下知事は、石川県のやり方に賛同し「大阪府は条例化まではできないというのは情けない」と心情を語っていました。一方、こうした動きとは反対に保護者の中には、「子供の安全確保のため」という理由から携帯電話を持たせることに賛成している方が多くいます。

 この条例はお子さんをお持ちの方だけでなく、多くの人々が「子供にとっての携帯電話の必要性」を真剣に考えるよい機会になったのではないでしょうか。

 今回は、この問題について私たちの考えを少し述べたいと思います。

 私たちも橋本知事と同様、子供に携帯電話を持たせることには反対です。その理由は、よく言われている有害サイトの危険性云々ではなく、「子供の心の成長にとってマイナスになる」と考えるからです。子供の心の成長には、一人でいる静かな時間(内省的な時間)を持つことや、良い本をたくさん読むことがとても大切です。携帯電話は、そうした子供にとって大切な時間を奪ってしまうからです。

 先日、産経新聞に興味深い記事が載っていました。奈良県で進学塾の講師をしている女性からの投稿です。

 便利で安心だからと持たせている携帯電話が子供たちの格好のおもちゃになっているということを、どれだけの保護者が理解しているのでしょうか。1日平均50通ぐらいメールをやり取りしている子もいます。メールはすぐに返すことが子供同士のルール。いつもそばに携帯電話を置いていて、お風呂にまで持っていくありさまです。携帯電話がなくてはならない依存症の生徒を多く見てきました。子供が部屋にいれば勉強中と思って安心している保護者が多すぎます。「使い方を教える」「ルールを決める」なんてきれいごとでは済まないのが現状です。お酒と同様、携帯も20歳からで十分です。

 直接子供たちと接している先生だからこそ実感している言葉と言えます。携帯電話を片手に、熱心にメールを打っている子供たちの姿が目に浮かびます。

 インターネットや携帯電話はとても便利な道具ですが、使い方を誤るとたいへんです。文明の利器は、それをコントロールして用いる分には人間により多くの幸せをもたらしてくれますが、反対に振りまわされたり、翻弄されるようになると、人間にとって一番大切な心の成長を阻害することになります。今の子供たちの多くが四六時中、携帯電話をいじくり回しています。これではもう中毒です。“携帯中毒”は、麻薬やアルコール中毒と同じです。携帯なしにはいられなくなってしまった子供は、本能的快楽だけを求め、心と精神が蝕まれていきます。携帯電話は、子供に持たせるには危険が多すぎます。この女性教師と同様に、私たちも携帯電話は自己コントロールできる大人になってからで十分だと考えます。(しかし本当の問題は、子供を導く大人の多くが“携帯中毒”になっていることかもしれません……)

 本当は、皆さんの中にも「できることなら、子供に携帯電話を持たせたくはないのだけれど……」と、思っている方がいらっしゃるのではないでしょうか。中学生にもなると、親の言うことはなかなか聞いてくれません。ましてや力ずくで従わせることなどとてもできません。子供たちの間では、携帯電話を持っていないというだけで仲間はずれにされたり、いじめのターゲットにされたりと、精神的なリンチを受けるような状況が起きています。

 大人でさえもこうした状況は耐え難いのですから、子供に耐えられるわけがありません。「携帯電話が悪いということは分かっていても、どうすることもできない」  これが実情だと思います。

 本来、こうした問題については国が取り組み、方向性を示していくべきです。しかし現実は、政治も経済もすべてがお金を中心に回っています。私たちは、石川県のような積極的な取り組みが他の県にも波及することを心から願っていますが、実際には今の日本では根本的な解決は難しいような気がします。橋下知事のような毅然とした態度がとれる政治家がもっと現れてくれればと思いますが、それもちょっと期待できそうにありません。

 残念なことですが、破綻状況にまで行き着き、多くの日本人が「これではいけない」と気づかないかぎり、方向を正すことはできないのかもしれません。日本の行く先と子供たちの将来を考えると、暗澹とした気持になってしまいます。