奥深さを知るぬか漬けの道

ミョウガの”ぬか漬け”をつくりました!

 私たちはみんな、漬け物が大好きです。ぬか漬け・塩漬け・味噌漬け・粕漬け・酢漬け・梅酢漬け……いろいろありますが、やはり一番のおすすめは“ぬか漬け”です。種々さまざまの旬のお野菜を漬けて一年中楽しんでいます。特にこれからの季節は、何といっても“ぬか漬け”です。梅雨が終わりを告げる頃、そろそろ夏の香りが漂い出すと夏野菜の出番です。ぬか漬け好きにとっては待ちに待った季節です。

本日ぬか漬けにする野菜

 夏の野菜といえば、キュウリ・キャベツ・セロリ・オクラ……etc。私のお気に入りは“ミョウガ”です。子供の頃、裏庭に植えられていた(自生していた?)ミョウガを今でも思い出します。涼しげな葉の陰に少しだけ見える赤いミョウガの芽を見つけると、心はもう夏。ヤブ蚊に刺されても、ミョウガ採りはやめられません。

 ミョウガは夏の風物詩です。縦に切って“おかか”をかけたり、細かく刻んで薬味にしたり、吸物や味噌汁の実にもピッタリです。酢漬けもサッパリしていておいしくて、考えただけで口元がゆるみます。

「産膜酵母(さんまくこうぼ)」にびっくり!

 さて、皆さんは“ミョウガのぬか漬け”を食べたことがありますか? これがたまらなく美味なのです。夏が来れば思い出したように、ミョウガのぬか漬けがなつかしくなります。

 しばらく手を入れなかった“ぬか床”には、なにやら白くカビのようなものが……。これまでずっとこれをカビと思って捨てていました。実は、この正体は「産膜酵母」という“ぬか漬けの美味の素”になるものだと、つい先日知りました。ぬか床を上下に混ぜると、これまでアルコールくさかった産膜酵母は底に入り、芳醇な香りとまろやかなうまみを醸し出してくれます。ぬか漬けは、生きているのです。乳酸菌もすごいけれど、産膜酵母もすごい! ワインや味噌・梅干しにも、この酵母が出現します。特に減塩(塩分20%以下)の梅干しづくりには発生しやすいようです。

苦労の末に絶品のぬか漬け

 健康フレンドのスタッフはみんな、“マイぬか床”の持ち主です。ぬか漬け歴もさまざまで、半年の人もいれば主婦歴と同じ30年以上のスタッフもいます。全員、失敗をくり返しながらもぬか漬けづくりに励んできました。なかでもスタッフ・Sさんのぬか床は10年ものです。日々、絶品のぬか漬けがここから生まれてきます。Sさんに秘訣を尋ねました。すると「毎日、子どものように“おいしくなってね”と声をかけながら手を入れているの」という答えが返ってきました。Sさんも、最初は失敗の連続だったけれど、あきらめずに何度もチャレンジして、今ではおいしい“ぬか漬け”を毎日食卓に出せるようになったということです。やはり、つくる人の“愛”が生きた菌には届くのですね。

 これからも私たちは、ぬか漬けに代表される「伝統食」の素晴らしさを伝えていきたいと思っています。