NO.138
2018/10/25
  8月、国民的アニメ 「ちびまる子ちゃん」 の作家、さくらももこさんが乳がんで亡くなりました。また昨年は、30代の若さで小林麻央さんが亡くなり、女性の間で乳がんについて関心が高まっています。こうした報道が流れるたびに 「私は大丈夫かしら?」 と、鏡に乳房を映してみたり、手で触って確認する方が多いのではないでしょうか。
  先月、NHKの番組 『ガッテン!』 で、「86万人の自宅に届く!乳がんで死なないための切り札をあなたへ」 と題して、乳がん検診について取り上げていました。ご覧になった方の多くが、乳がんで死なないためには早期発見 ・早期治療が第一と、検診の必要性を感じられたのではないかと思います。

  ところが、乳がん検診については、検診による有効性よりもデメリットの方が大きいとし、多くの医師が 「若い女性は乳がん検診 (マンモグラフィー) を受けない方がいい」 と言っています。日本では、40歳以上の女性に乳がん検診を2年に1回行うことが推奨されていますが、米国や英国では40代の方の検診は推奨していません。

  そこで今回は、乳がん検診について少し述べてみたいと思います。

 


     

  小林麻央さんの影響で、若い人も乳がん検診をした方がいいと思っている方が多くいますが、専門医は20代や30代の女性には検診を勧めていません。その理由は、この世代の乳がんはとてもまれで、ガンが見つかることよりも検診によるデメリットの方が大きいからです。そのデメリットを3つ挙げています。  
 

1つ目は、若い世代は乳腺濃度が濃く、マンモグラフィーを受けても乳がんを発見できないことが多いこと。

2つ目は、実際はガンではないのにガンと疑われる“偽陽性”が発生し、不必要な再検査を受けることになる
   身体的負担。

3つ目は、「疑いあり」となった場合、再検査の結果が出るまでの精神的ストレス。

 
  以上が、乳がん検診のデメリットですが、問題は偽陽性の割合が少なくないことです。これは乳がん検診に限ったことではなく、どんな検診でも一定の割合で偽陽性が発生するのは避けられません。日本のある研究によると、40代の乳がん検診者1000人のうち86.3人が 「要精密検査」 となり、そのうち73.4人が追加の画像診断、6.9人が生検(*乳房に針を刺して疑いのある部位の細胞や組織を採取して行う検査) を行い、本当に乳がんだった人は2.8人でした。つまり、1000人中83.5人がガンではないのにガンと疑われ、不要な精密検査を受けたわけです。
  さらに、その結果が出るまで短くても10日以上、大きな病院では数か月かかることもあり、その間の精神的ストレスは想像以上のものとなります。患者の中には 「結果が出るのを待つ期間の方が、乳がんと告知された時より精神的にきつかった」 と感じている人が少なくないといいます。

  しかも、若い世代の乳がんの発症率は低く、40歳未満の乳がん発症率は、乳がん患者全体の5.8%にすぎません。75%50歳以上に発症しています
(*国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス、2011年年代別乳がん罹患率より)。こうしたことから、医師たちは40歳未満の女性には、早期発見というメリットよりもデメリットの方が大きいとし、乳がん検診を勧めていません。米国や英国では、40代の人においても推奨していません。
 
    『ガッテン!』では、乳がん検診によってガンが早期に見つかるメリットだけを取り上げていましたが、実際はこうした不利益を被る人が少なからずいるのです。検診を受けようと考えている人は、検診によって想像以上の肉体的・精神的負担を受ける可能性があることを知っておくことが必要です。  


     

    番組では、乳がんになる原因について言及していました。乳がんは、女性ホルモンがあることによって引き起こされるとし、一生の月経回数を昔の女性と現代の女性を比較していました。それによると、現代の女性は子供をあまり産まなくなったために月経回数が多く約450回、それに対して100年前の女性は85回でした。現代の女性は、昔より月経回数が約5.3倍に増えたために乳がんになりやすいと述べていました。そして、乳がんで死なないためには、とにかく検診をちゃんと受けること、自宅に届けられる検診の葉書が切り札であることを強調していました。おそらく、番組を見た方の多くが 「私も乳がん検診を受けようかしら」 と思われたのではないでしょうか。  
  しかし私たちは、乳がんになる最大の原因は、月経回数の増加よりも肉・牛乳・乳製品といった 「欧米型の間違った食事」 にあると考えています。そして、検診を受けることよりも、そうした食生活を改めて健康レベルを上げる生活を心がけていくことの方が、はるかに大切だと思っています。乳がんも他のガンや病気と同様、健康レベルが下がることによる免疫力の低下から引き起こされています。「検診を受けているから大丈夫!」 と過信してしまうことの方が、ずっと危険なのです。
   
      大切なのは、健康レベルを上げて乳がんにならないような健全な身体づくりをしていくことです。それが “予防医学” です。今の医学は、予防よりも治療だけを中心とし、それがエスカレートして早期発見 ・早期治療という流れをつくり出しています。早期発見 ・早期治療というと、いかにも正しいことのように思いますが、予防を優先しない医学は間違っています。私たちは    「“予防医学” こそが、本当の意味での医学の使命である」 と考えています。  

  今回の 『ガッテン!』 は、一番肝心な予防について触れることなく、早期発見 ・早期治療だけに的をしぼったという点で、きわめて偏った内容だったと言わざるを得ません。
  私たちは、検診を受けることに反対はしませんが、それより健康になるための条件 (心 ・食 ・運動 ・休養) を満たすことが、はるかに重要だと思っています。日常の考え方・生活スタイルを自然の摂理と一致させていくことこそが、健康レベルをアップさせる道だと考えています。